 秩父ヶ浦公園から見える有明海
|
島原外港から南へ抜けて、海沿いにある島原鉄道「秩父ヶ浦」のバス停を超えた小道を左に曲がると、開けた芝生の先に有明海を行き交うフェリーが見えてくる。島原半島県立公園に指定されている秩父ヶ浦公園は、芝生にブランコとベンチが少しある開けた芝生の公園だが、そこからの眺めはとても良い。対岸に熊本を見据え、流島に隠れた島原港から大きなフェリーがぬっと出てくる。30~60 分かけて熊本港まで向かう2隻のフェリーはどんどん小さくなるし、熊本港から向かってくるフェリーは白波を上げどんどん大きくなる。写真を撮るには絶好のスポットだ。待ち合わせ場所に秩父が浦公園を選んだ阿南さんは「あの流島の先に行くと、いつもと違う顔をした島原港が見えるよ」と嬉しそうに教えてくれた。
 安中地区のキャラクター「あっちゃん」 |
阿南さんは秩父ヶ浦町の町内会長だけでなく、安中地区全体の町内会連絡協議会の会長でもある。名刺を見せてもらうと安中のイメージキャラクター「あっちゃん」が描かれていた。数年前に中学生に公募して作ってもらったというあっちゃん。市町村や団体ではなく、地区にイメージキャラクターがいるのもめずらしい。あっちゃんは、過去数百年、雲仙普賢岳だけでなく洪水や水道の枯渇などいくつもの自然災害に見舞われてきた安中だからこそ、「安心・安全」を願って作られたという。自主防災組織の意識が高いことも、安中地区の特徴だ。
秩父ヶ浦町は、秩父が浦公園、杵島(きねしま)、がまだすロードの IC、飲食店や宿泊施設などがある。元々は「柳ヶ浦」という地名だったが、大正 14 年に秩父の宮殿下が島原に来られた際、九十九島を鑑賞されたことに因んで今の名前になった。
 阿南達也さん |
阿南さんは大分県出身。大牟田市役所に勤めていた頃、秩父ヶ浦にある「九十九ホテル」に引き抜かれる形で島原にやってきた。かつては旅館が多く、外国からの旅行客が年単位で滞在していた頃もあったという。近年ではサッカーを中心に合宿や大会の誘致などを行っており、当時のことを楽しそうに話す阿南さんはとてもイキイキとしていた。
 秩父ヶ浦公園 |
秩父ヶ浦公園は釣りや写真を撮りに来る人も多いが、取材中には、近所のおじさんたちやカップルが散歩したり、ブランコを漕いだりしていた。町内会で桜の木や松の木を植えてきたと話す阿南さん。「桜は水はけが悪くて育たなかったけど、松は強く育っている。最近は九州オルレの島原コースのルートの一つになっているから、綺麗にしときたいね」と話してくれた。